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真の生産性

会長のたわごと

 

 

先日、徳島から松山まで高速を1時間40分ほど運転して、途中のサービスエリアで昼食タイムを取った時のことです。

14時を過ぎていましたので、ランチタイムとしては最も暇な時間帯です。

予想通り約80席の大型店内は2組の客しかおらず、ガラ空状態でしたので、窓際の4人掛けテーブルに腰を下ろしました。

店員さんに「お客様何人様ですか?」と聞かれたので「1人です」と答えると、「向こうのカウンター席にどうぞ!」と促されました。

そこは、横一列に椅子を並べた“狭く窮屈”そうな一人用の席でした。

「えっ?こんなにガラガラになのに・・!」と、問い返しました。

窮屈な運転席に同じ姿勢で長時間ハンドルを握り、やっとたどり着いたドライブイン・・、

食事の時ぐらいはゆっくり手足を伸ばしてホット一息入れたいところでした。

一人席への誘導は首都圏の飲食店では普通の光景ですが、地方のサービスエリアのレストランでは違和感があります。

繁忙時のマニュアル一辺倒かと諦めていましが、客が帰ったあとの店員さんの動きを観察していると、少し違っていました。

一人席は、テーブルの清掃面積が小さく、1つの椅子の片づけでだけ済みます。

それに比べて4人掛けテーブルは、清掃面積が広く、4つの椅子の整頓が必要です。

つまり、新規に来店するお客様の「席不足」を心配してのことではなく、「清掃効率」を考えてのことでした。

確かにこのレストランでは、総席数に対して接客係の人員が少なく感じました。

おそらく、接客マニュアルも生産性向上の作業効率を考えてのことでしょう。

 

現在は飲食店業界に限らず、他の業界でも人手不足が顕著です。

従って、少ない人員で如何にしてお客様へのサービスを実現するかが、大きな課題です。

製造業では、商品の製造工程をチェックして、無駄な部分を排除したり機械化することで生産効率を上げることができますが、

サービス業では人の動きが直接的に仕事の価値を左右します。

つまりサービス業の生産性向上とは、従業員一人ひとりの接客レベルを上げることに他なりません。

このようなレストランでは食事の提供以外に、どのような接客をするかという「顧客体験」も大きな商品と言えます。

 

言い変えますと、サービス業での生産性向上の原則は、お客様と直接かかわらないバックヤードを効率化することによって、

お客様との接点であるフロントヤード「接客」に労力と時間を振り向けることです。

フロントヤードは、気持ちの良さ、大切にしてもらっているという満足感、共感、癒し、といった価値を提供するところです。

 

このレストランでは、「接客」よりも、バックヤード「店内清掃」が優先順位の上だったようです。

食事がまずく感じたのは云うまでもありませんが、レジで清算するとき、他のお客様は皆無でした・・・さもありなん!

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