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「金持ち」と「時間持ち」

会長のたわごと

コロナの影響で、一年ぶりに開催された異業種のゴルフコンペでの出来事です。

午前中のハーフをラウンドしてクラブハウスに入った時、うつむき加減で歩いてくる人とすれ違いました。

なんとなく気になって振り返ると、同伴者の人に支えられてレストランの階段をヨロヨロ上がる姿

・・その人は、同じコンペで何度もプレイをした知人でした。

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余りにもやせ細り、急激に年老いた容姿に、同一人物と気づかなかったのです。

そして、とてもプレイができるとは思えないほど、不安定な足取りでした。

私はその変わり果てた姿に圧倒され、掛ける言葉が見つかりませんでした。

そう思ったのは私だけではなかったようで、

ゴルフ仲間の後輩が「残りのハーフはやめて、もう帰ったほうがいいですよ!」と、諭していました。

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しかし、午後からの9ホールをやり遂げたのです

・・ただしその意思とは裏腹に、キャディーや同伴プレイヤーに支えられてのラウンドでした。

さすがに、その夜の懇親会場には彼の姿はありませんでした。

そして、それから数か月経った今もゴルフ場で彼を見た人は誰もいません。

なぜ、彼は・・・当日のゴルフプレイにあれほど拘ったのでしょうか?

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1万円は、誰にとっても同じ貨幣価値です。

しかし、10万円の預貯金しかない人の1万円と、10億円も預貯金がある人の1万とでは、

その人にとっての1万円の価値はまったく違います。

前者は、1万円の使い道に細心の注意を払い、1円たりとも決して無駄遣いしないでしょう。

同じように、余命10ヶ月と宣告された高齢者の一日と、健康な若者の一日とでは、一日の価値感がまったく違ってきます。

元気な若者とは比較にならないほど、自分の一番大切なことに優先して時間を使うはずです。

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日本の金融資産の6割超を60歳以上の人が保有している事実から、

一般論として高齢者は高貯蓄で、若者は低貯蓄だと言えます。

多くの若者は「金持ち」になることを夢見て、逆に多くの高齢者は「若さ」を保ちたいと望む・・

皮肉にも、お金持ちの高齢者でも“時間持ち”の若者に憧憬の念を抱いているのです。

あえて言うと、好むと好まざるとに関わらず高齢者はみんな「時間貧乏」に向かっています。

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バカげた例えですが、「お金」と「時間」の価値比較をした場合はどうでしょうか?

ある意味で「お金は」貯蓄できるし、使わなければ減ることもありません。

しかし、時間は「貯蓄」できないし、使わなくても確実に減ってきます。

その意味においては、お金より時間のほうが貴重といえるでしょう。

ところが、かつての私がそうだったように、

若くて健康な人はこんな単純で分かり切ったことに気が付かない!・・というより実感が湧かないのです。

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つい先日、幼少のころから遊び仲間だった同級生が逝去したことを知りました。

高齢者になると周辺の人たちの悲報を聞く毎に、自分自身のゴールインを潜在意識のなかで捉えてきます。

冒頭の知人は、親しい仲間と一緒にゴルフすることに、自分の貴重な時間を優先したのだと思います・・

例え、進行の妨げ「スロープレイ!」と思われようと・・・。

デジタル時代といえども、「時間持ち」には「時間貧乏」の心理データは読めないようです。

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「若人よ時を惜しめ 死期を認知した老人のごとく!」

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