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継続の合理性

会長のたわごと

行きつけの寿司店で、急に客足が減りました。
以前はふらっと行っても座れないほど活況でしたが、現在は常時空席が目立ちガランとしています。経営者も店舗立地も内装も寿司ネタも、全く同じであるにも関わらず・・・。
唯一変わったことは、今までの店長が独立し、新しく寿司店を開業したことです。

業種に関わらず小規模店の店長のウエイトは、想像以上に大きいものがあります。それを証明するかのように、前店長が開業した寿司店は、予約が取れないほどの大盛況です。

一般的に飲食業は参入障壁が低く競争が激しいため、廃業や倒産率が最も高い業態と言われています。
ある統計によると2年未満の閉店が49.7%。3年以内で約70%、10年の生存率は約10%未満・・・それが飲食業界の実態だそうです。
ただ、古来の寿司店は、寿司職人として一定の経験が必要とされるため、廃業率の少ない業態の一つです。

行きつけの寿司店経営者は友人でもあり、老婆心から「前店長の寿司店は繁盛しているらしいな!」と、問うてみました。
だが彼は「店長が独立すると、お客をごっそり持っていかれる!いつものパターンよ!」と、こともなげない返答でした。
実のところ、今度で6人目の開業なのです。
彼の弟子に対する口癖は「10年当店で修行したら、辞めて独立しろ!・・・開業時には、保証人にもなってやる!」と言う指導法です。

彼は中学卒業後に、寿司職人としての道を選択しました。そして彼が28歳で独立する時、当時の師匠がしてくれたことを自分も弟子にしてやる!・・それが彼のやり方なのです。
もちろん、すべての弟子が成功するとは限りません。失敗した弟子の債務3,700万を代位弁済したこともあったようです。
そして、元弟子5人が成功しているということは、松山市という限られたエリアで競合店が5軒増えたことになります。
古き時代の「徒弟制度」的な発想は、今のご時勢に時代遅れで非合理に思えます。

ところが次の言葉に深い意味がありました。
「独立開業したら、俺と勝負しようや!」と競争心をかきたてモチベーションに変えているのです。
「弟子が独立し、その都度お客を奪われたとしても、残った弟子達とそれ以上の努力と工夫でお客を増やし、さらに高みを目指す・・・その繰り返しで今の店が在るのよ!」と・・。

確かに、倒産率が最も高い飲食業界にあって42年もの長きに渡り生き続けている・・その現実は、したたかな合理性がなければ無理からぬことです。
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