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臥薪嘗胆

会長のたわごと

少し前のマスコミ報道で周知の通りですが、かつて「平成の大横綱」と呼ばれた元横綱貴乃花親方が、日本相撲協会を退職し角界を去りました。
叔父の初代若乃花が築いた二子山部屋を、弟の元大関貴乃花が継承し、そしてその子供である現貴乃花親方が再び継承し3代続いた二子山部屋が、あっけなく消滅してしまいました。
これで将来の理事長候補と目された貴乃花親方は、相撲協会改革の志半ばで角界を去ることになりました。

力士時代の貴乃花は19歳で幕内優勝など成長は華々しく、数々の最年少記録は素晴らしいものでした。兄の3代目若乃花と兄弟横綱になり、角界で空前のブームを巻き起こしました。そして、妥協を許さない極限まで心身を追い込んだ横綱相撲は、兄の若乃花以上に輝いて見えたものです。
力士時代に周囲から比類なき尊敬を集めたからこそ、その後の親方としての期待も大きいものがあったと言えます。

一部報道によると、貴乃花親方が協会の理不尽な圧力に反発して、自分流の正義を通して退職したかのような印象です。「さすが平成の大横綱・・妥協のない美学を貫いた潔い散り方だった!」との見方もあります。
しかし、現役時代の貴乃花に憧れ、夢と希望を抱いて入門してきた弟子達にとって、親方として最良の決断だったのでしょうか?

私事ですが、新入社員時代の鮮烈なエピソードを思い起こします。
顧客だった大阪の老舗経営者に、次のように言われました。
「俺が、この金お前に恵んでやるから拾え!・・と床に1000円札を投げ捨てたら、君ならどうする?」
私は「もし金に困っていても、乞食の真似は絶対にしません!自分にもプライドがありますから・・」と即答しました。
「アホ!・・本物の商売人になりたいなら、黙って拾って帰るんや!・・ただ、その1000円札は決して使うな!・・部屋の壁に貼って“毎日”眺めるんや!」「その時の屈辱感を忘れないようにするためや!その悔しさが成功をつかむ根性を育てるんや!・・」と叱られました。

「臥薪嘗胆」(がしんしょうたん)と云う中国のことわざをご存知の方も多いと思います。意味は「戦いに敗れた将が、自ら薪の上で寝る痛みでその悔しさを思い出し、その一方で苦い胆(きも)を舐めることで屈辱を忘れないようにし、やがて宿敵を倒した・・」という故事からきたものです。

貴乃花親方の心中には、部外者には到底、計り知れない深い問題があったと思いますが、一つの組織(部屋)を預かるリーダー(親方)として、相撲協会という新たな土俵で“横綱相撲”を取れなかった!・・と感じるのは、私だけでしょうか?
それとも親方にとって、今から本当の「臥薪嘗胆」の境地に入るのでしょうか?
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