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唯一無二

会長のたわごと

 

 

 

「唯一無二」

 

最近AIと云うワードを聞かない日はありません。そして、そのAIの進化のスピードは驚くばかりです。

 従来のAIは、過去のデータに基づいたパターンの認識や分類、予測が得意でしたが、今の「生成AI」と云われるものは、

さらに学習したデータに基づき、文章の生成・画像の生成・音声の生成・動画の生成など新しいコンテンツを作成することができます。

社会問題になっているフェイク画像やフェイク動画などは、その副産物です。

その威力は、「本物」との違いを一般の人では見抜けないほど精度の高いレベルになっています。

 

 そんな中、約20年来一度行ってみたかった会社があり、今年の5月にその工場見学をする機会に恵まれました。

その会社は富山県にあり、メインの梵鐘造りは市場の70%以上をしめ、この分野では日本一の工場です。

歴史は古く江戸時代中期に遡り、過去に三笠宮や高松宮親王など皇族の視察も受けている老舗中の老舗です。

その製造方法は、今のAI時代にはそぐわない伝統的な工芸士による手作りです。

彼らが鋳造過程で最も大切にしているのは、形や模様もさることながら鐘を叩いた後に広がる波紋の響き「余韻音」です。

それは鋳造過程の銅と錫の調合比率と鐘の形状で決まります。

したがって、独自の寸法、形、模様、文字、音色は一つとして同じものはなく「唯一無二」の梵鐘が造られます。

 

今回の視察は、量産やコスパ優先のAI時代であっても、あくまで人力に拘った”本物”づくりの現場を見るのが目的でした。

もう一つの目的は、22年前に弊社本部ビルの屋上に「火の見櫓」を建てた際、そこにつける半鐘の特注先がこの会社だったからです。

 

 

 それにしても、不動産会社の屋上に「火の見櫓」があるという光景は、奇異に感じるでしょう。

なぜ火の見櫓を建てたのか・・・それはこの本部ビルが、戦後半世紀近く消防活動を担ってきた場所・・

地域にとって必要不可欠な拠点・・その痕跡を記念に残すためでした。

 そして、半鐘には当社の企業理念の一つ「遊働一致」という文字を、刻印してもらいました。

それは「仕事を義務なんかにしないで、仕事を遊びにまで高めて楽しみましょう」という意味の造語です。

正に、世界に一つしかない「唯一無二」の梵鐘といえます。

 我々にとって便利になった時代、ややもすると「偽物」と「本物」の混同が起こります。

そういう時代だからこそ、手間暇を惜しまない本物志向を大切にしたいものです。

 

 

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