相続や贈与には、知らないと損する「期限」「期間」が存在します。期限を過ぎてしまうと、特例が使えないことも・・・。相続や贈与に関する「期限」「期間」と、損をしないための事前対策についてご紹介します。
■相続・贈与の「期限」「期間」
①相続発生後「10ヶ月以内」
相続税の申告と納税の期限(延納・物納の申請期限)です。相続が発生し、遺言書がない場合は、法定相続人全員による遺産分割協議の上、相続税の申告と納税をしなければなりません。この期間に遺産分割協議がまとまらず、申告ができなかった場合は、各種の控除や特例が使えなくなります。例えば、「配偶者の税額軽減」は、配偶者が相続した財産のうち、法定相続分(2分の1)または1億6,000万円までは相続税がかからない特例です。
また、「小規模住宅等についての相続税の課税価格の計算の特例」という制度があります。この制度は、自宅を相続する場合、200㎡までの部分はその評価額の80%まで減額されるという制度です(適用要件あり)。これらは大きな減税効果が得られますが、10ヶ月以内に申告しなければ適用できません。
②相続を知ったときから「3ヶ月以内」
これは「相続放棄」ができる期間です。財産より債務が多い場合や相続人自ら望んで相続放棄する場合、「自己の為に相続の開始があったことを知ったときから3ヶ月以内」に家庭裁判所へ申述しなければなりません。相続放棄は、遺産分割協議で話しあって相続人が自らの相続分を放棄する「相続分の放棄」とは異なります。相続放棄は、初めから相続人ではなかったということになります。
また、相続放棄をする以前に財産の一部を使ってしまう(単純承認)等の行為をした場合は、相続放棄できなくなることがあります。尚、相続放棄は相続発生前には行うことはできません。
③婚姻期間「20年以上」
結婚してから20年以上経過した夫婦間で自宅や居住用財産の購入の為の資金の贈与があったときは、最高2,000万円までの配偶者控除が認められ、贈与税がかからない制度です。この制度を使って生前贈与すると、その分だけ相続財産を減らすことができ、相続発生時に節税効果があるとともに、より多くの財産を配偶者に残すことができます。
基本的に生前に贈与された財産は、民法上の特別受益に該当し、相続発生時は、相続財産に持ち戻して遺産分割や遺留分減殺請求の対象となりますが、民法改正により2019年7月1日以降の居住用財産の配偶者への贈与については、遺産分割において相続の対象財産に持ち戻しをしなくてもよくなりました。これにより、今後この制度の利用はより多くなると考えられます。
④相続が発生してから「5年10ヶ月」
相続税の還付の方法には「更正の請求」という制度があります。相続税を申告したものの、例えば土地の評価が適正ではなかったとか、相続税の計算が間違っていたとかで納付した相続税の内、余分に納付した分の返還を求めることができます。この期間が相続発生後5年10ヶ月以内です。この期間を過ぎると更正の請求ができなくなります。
今回ご紹介しました「期限」「期間」は、相続や贈与に関する事柄のごく一部になります。知らなかったためにたいへん辛い思いをされたケースや、知っていても期間に間に合わず、特例が使えなかったため大きな相続税がかかってしまったケースなど、多くの事例があります。特に、「相続発生後、10ヶ月以内の申告と納税」は重要です。この期限を守る為にも、例えば生前に遺言などによる遺産分割対策、生前贈与の活用による納税資金対策などを考えておく必要があります。
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