生命保険やその他の保険との組み合わせで相性のいい生前贈与
皆さん、基礎控除110万円を贈与するだけで終わっていませんか?
生前贈与は親(祖父母)から子(孫)に財産を移転する事で、親(祖父母)の節税対策になります。
今回は、生命保険や各種保険を活用した生前贈与についてお話します。
■二種類の贈与
まず贈与は税法上、二種類に分かれます。「暦年課税贈与」と「相続時精算課税贈与」の二種類です。この暦年課税贈与と相続時精算課税贈与は自由に選択することが出来ます。しかしその選択は贈与する側ではなく、贈与を受ける側=納税者側で決定します。親(祖父母)が子(孫)に贈与する際は、子(孫)がどちらかを選択して申告することになります。
■暦年贈与の基礎控除と相続時精算課税制度の非課税枠
暦年課税贈与は、年間110万円までは基礎控除があり、非課税で贈与できる制度です。この制度を利用して子や孫に毎年110万円以内の贈与をされているオーナー様も多いと思います。但し、贈与税法の改正で贈与の持ち戻しの期間が「3年」から「7年」に延長されました。つまり贈与してから7年間はご存命でなければ、相続税の節税効果は得られないという事になります。
相続時精算課税は、60歳以上の親や祖父母から18歳以上の子や孫に対し2,500万円まで無税で贈与できる制度です。但しこの制度を使った贈与財産は、相続時に持ち戻しされます。
しかし税法の改正において相続時精算課税にも、「年間110万円の非課税枠」が新設されました。しかもこの非課税枠の110万円は相続時の持ち戻しは一切ありません。
■贈与したお金を無駄遣いさせないために
贈与する親御さんが一番心配なのは、「あげた財産を子どもたちが無駄遣いするのでは」ということでしょう。贈与税の基礎控除や非課税枠を使って節税対策をする場合、「長期間にコツコツと贈与していく」方法が高い効果を生むという事は以前にもお話ししている通りです。しかし、毎年現金をあげることで、子どもがそれを無駄遣いしたり、また勤労意欲がなくなってしまうのではと不安に思う親御さんも多いのではないでしょうか。無駄遣いさせないためにも、贈与した財産で生命保険に加入すれば無駄使いを防げるという方法があります。
■加入する生命保険の契約形態は
生命保険に加入する際、契約者と受取人を子(または孫)、被保険者を親(または祖父母)として、親(または祖父母)が贈与した財産を全額保険料の支払いに充てることで親(祖父母)の死後に子(孫)が死亡保険金を受け取ります。
贈与する金額を毎年110万円以下に抑えれば、子(孫)には贈与税はかかりません。契約者である子(孫)が死亡保険金を受け取った場合その保険金は、相続税ではなく一時所得として所得税・住民税の対象になります。この時の所得税とは生命保険金の利益(儲け)にかかります。一時所得の所得税・住民税については、事前に確認しておく必要があります。
■もらった子(孫)が自分たちの為の保険に加入する
贈与された財産を、子(孫)が自身の生命保険や養老保険、個人年金保険などの契約金として支払いに充てる方法です。自分が被保険者となる生命保険であれば万が一の時に家族に死亡保険金を遺すことが出来、また自分の相続対策としても活用できます。個人年金保険であれば、老後資金を備えておくこともできます。このように、贈与でもらった財産を親(祖父母)の生命保険以外にも、有効に活用することが可能です。
■生前贈与を活用して保険に加入する場合の注意点
上記の方法を利用する場合に気をつけなければならない点は、保険料(掛け金)を負担したのは子(孫)であることをハッキリさせておくことです。
相続が発生した時に、税務署から「本当は親(祖父母)が保険料を払っていたのでは?」と指摘されたのでは意味がありません。
その為に次の点に注意して必ず実施しておきましょう。
〇贈与契約書を作成しておく。確定日付があれば尚よい。
〇振込で贈与することで、贈与の記録を残しておく。
〇保険料(掛け金)の支払いは、子(孫)の口座から引き落とす。
以上のように、誰がみても明確に分かる証拠を残しておく事が大切になります。
いずれにしても、生前贈与と保険はたいへん相性がよく、大きな効果が期待できる相続対策になります。生命保険を使った生前贈与について詳しくお知りになりたい方は、お気軽にお問合せください。
日本エイジェントでは、毎月テーマに合わせた「相続対策セミナー」を開催しています。「相続」と聞くと、まだ早いと思われている方も、資産管理・資産承継という観点から「相続」について考えていきませんか?
皆様のご参加、お待ちしております。
▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼
空室対策や相続対策など、賃貸経営に役立つ各種セミナーを開催中です。
オンラインでの受講も可能ですので、ぜひご参加ください。
《セミナー参加はこちらから》
https://nihon-agent.co.jp/chintaisodan-salon/seminar-archive/