台風16号が伊豆諸島や千葉県を暴風域に巻き込みながら、東日本太平洋側を北上し、一部の地域に被害をもたらしたのは記憶に新しい所ですが、ここ数年は毎年といってもいい頻度で甚大な自然災害が発生しております。
令和に入ってからも例をあげると、2019年8月の「九州北部豪雨」、2019年9月に発生した関東上陸時の勢力では過去最強クラスの令和元年「房総半島台風」、2020年7月の「熊本豪雨」など、自然災害はいつ発生するか本当に予測が出来ません。
■賃貸契約における「水害ハザードマップ」の説明義務
こうした状況から、宅地建物取引業法施行規則の一部改正 (水害リスク情報の重要事項説明への追加)で不動産の売買だけでなく、賃貸の場合でも、重要事項に水害リスクに係る説明が義務付けられた訳ですが、そこで必要になるのが水防法に基づくハザードマップです。
そもそも水防法に基づく水害ハザードマップとは、水防法第 15 条第3項の規定に基づいて市町村が提供する水害(洪水、雨水出水、高潮)ハザードマップを指します。水害リスクに対して意識の高いオーナー様はご存じかもしれませんが、水防法の規定上、平成27年の改正以前の水防法に基づき作成された古い水害ハザードマップであっても、現行の水防法に基づくハザードマップと見なされるため、現行法に対応するハザードマップの更新がなされていない自治体においても、平成27年の改正以前の水防法に基づき作成された水害ハザードマップが存在する場合は、その水害ハザードマップについて説明する必要があります。
■「水害ハザードマップ」の入手方法
この「水害ハザードマップ」は、取引の対象となる宅地又は建物のある市町村のホームページから入手することが可能です。 また、自治体によっては、紙での配布を行っているところもありますので、当該市町村のホームページに掲載がない場合は、当該市町村の担当窓口に問い合わせてご確認いただけます。
また、国土交通省が地域ごとの様々な種類のハザードマップを閲覧できるサイトを作成し、各市町村が作成したハザードマップへのリンクを貼っていますので、詳細についてはこちらをご確認ください(ハザードマップポータルサイト https://disaportal.gsi.go.jp/) 上記サイトでもご確認いただけない場合には、各市町村にお問い合わせください。
お住まいの街、所有する不動産のあるエリアのハザードマップを見た事が無い場合は、一度ご確認しておく事をお勧め致します。
■浸水リスクが高いエリアの「建築物における電位設備の浸水ガイドライン」
また、首都圏の高層マンションの地下にある高圧受変電設備の冠水によりエレベータ、給水設備が使用不能となったニュースもありましたが、その事を受けて「建築物における電位設備の浸水ガイドライン」(国土交通省)も策定されてます。浸水リスクの高いエリアでは、都道府県知事の許可が必要となる制度も創設されております。今後は、この区域に該当する場合、建築物は一定の基準に達しない建物の場合、既存不適格物件になる可能性も高いといえますので注意が必要です。このようにガイドラインの策定によって、水害リスクに備えを求める一方で、いつ発生するか分からない水害には、やはり日頃の備えが必要となってきます。
■所有物件が浸水してしまったら!?
では、もしご自身の所有する物件が浸水してしまったらどうでしょう。
台風や大雨による浸水被害について少し整理するにあたって先ず、大堰堤として「普段からの物件管理が非常に重要」という事をご理解いただく必要があります。通常時の管理が不十分な場合は、被害を誘発したり、拡大するといった多重リスクにもつながります。そういった事から、緊急時の対応がしっかりできる管理会社であるかどうかは、管理会社を選ぶうえで非常に重要なポイントです。最近では、緊急対応の窓口としてコールセンターを利用している管理会社が多く、実際に現場対応がままならないというケースも少なくありません。
■浸水被害にあった場合の対応は!?
浸水被害にあった場合は、当然ながら、入居者対応や復旧作業が必要となります。民法では「賃貸人は賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う」とあり、浸水被害にあって住むことが不可能な場合は、賃料の請求も難しい状況になります。ただ、自然災害の場合は、復旧中の仮住まいに要する費用については賃貸人が負担する必要は無いとされてます。
次に、入居者の家財については、実務的にいうと賃貸借契約時に主に仲介会社が取り扱う入居者向けの保険(家財保険)で大半をカバーしているため、基本的には、オーナー様が補償する必要はありませんが、建物の管理状態に問題があった場合は、オーナー様にその責任を求められる可能性があります。賃料をもらっている以上、建物をしっかりと維持、修繕し、賃借人の住環境を守る必要があるという事です。
自然災害はいつ発生するか予測がつきません。事前にハザードマップを確認し、水害リスクを予想し、専門家の意見を総合的に判断し、不動産の売買や建築を実行する事が、オーナー様にとっては、自然災害のリスクに備える唯一の手段であり、非常に重要な事ではないでしょうか。
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