中古の収益物件を購入した際、「購入後に修繕費用が思いのほか掛かってしまった」という話をよく耳にします。
このような話は、購入前にしっかり建物の状態を判断する事が出来れば、十分予知できた可能性が高い内容です。ただ実際には、買主様お一人で物件の状態を判断するのは容易な事ではありません。今回は、購入する前に最低限チェックしておきたい建物を見るポイントに絞って、幾つかご紹介していきたいと思います。
■積極的に専門家を頼ろう
「いきなり専門家かよ」という声が聞かれそうですが、建物に潜む見えないリスクを発見し、回避する為に、建物に関する豊富な知識を有する専門家を交えて、調査・確認する事はとても重要です。
先日も、あるオーナー様が建物を購入された後に、当社が管理をすることになった物件で、購入直後にも関わらず配管に大きなトラブルが発生。修理に数百万円を要したというケースがありました。こうなってくると、購入前に計画していた投資プランに大きな影響を及す事になり、事業計画の見直しも必要となってきます。
■絶対に確認しておきたい5つのチェックポイント
1.屋根・屋上の防水の状態
2.外壁塗装の劣化・クラック
3.給水管・排水管の劣化・亀裂
4.エレベーターのメンテナンス状況
5.受水槽揚水ポンプのメンテナンス状況
上記5項目は、もし不具合が生じた場合には修理費用が高額になるケースが多く、注意が必要です。
その他、稀なケースにはなりますが、建物に傾きが生じているような物件もあります。事前に確認しておきたい項目です。
■知っておきたい修繕履歴
過去にどのような修繕を実施してきたかは、可能な限り事前に知る事で、将来に発生するであろうリスクに対し、事前の対策を考えることができます。過去の修繕履歴を知る方法としては、購入時売主様から買主様に提出される建物状況報告書(告知書)という書類があります。この書類は重要事項説明書と同様売買契約前に買主様に示されます。この中に過去の修繕履歴も記載されています。
もし上記5項目の修繕履歴がない、十分なメンテナンスがなされていないような場合は、将来的に高額な修繕を行う可能性が高いことが想定できます。修繕履歴とコストの問題をあらかじめ想定できれば、より現実的な修繕計画を立てることが可能になり、収益物件を長期で運用していく上で、投資計画も立てやすくなります。
プラスαとして、新築時の建築設計図書も効果的な修繕計画をする上ではとても重要な書類となります。購入される際は、売主様からできる限り引き継ぐようにしましょう。
■保険でリスクヘッジ
ここまで、建物を調査し過去の修繕履歴からリスクに備えるお話をしてきました。とは言え、突発的、偶発的なトラブルが発生する場合もあります。この種のトラブルのリスクヘッジには、保険を活用する方法があります。近年、火災保険に加えて様々な特約を付けることで、オーナーのリスクに対応する事が可能となってきました。毎年の保険料は経費として計上できますので、しっかり備える事が重要です。
※保険会社の商品は補償内容も異なる為、詳細は専門家にご相談下さい。
■十分な事前調査と現地確認が重要
事前に確認しておきたいチェックポイントとしてあげた箇所のトラブルが発見されたり、あるいは空室が出た場合、常にオーナーは、費用対効果を計算した投資と修繕の判断が求められます。
どのくらいの期間で、修繕に掛かる投資コストを回収する事ができるかについては、事前に専門家や管理会社と打合せておく事で計画的な投資が行えます。収益物件の購入に関するリスクは他にありますが、今回のテーマでもあります建物の状態に関するリスクを回避するためには、物件の状態を知らずに購入することは避けたほうが良いでしょう。買主様の中には、物件資料の利回りや写真、インターネット上のストリートビューなどで確認し、購入を判断される方もおられます。
コロナ禍でなかなか移動が難しい状況ではありますが、やはり現場を実際に見ることはとても大切です。たまには管理会社を訪れて、情報収集されてみてはいかがでしょうか。新しい発見があるかも知れません。