更新日:2024年3月23日
生前贈与は、適切に行われた場合、相続税対策として非常に有効です。
特に、年間110万円の非課税枠を最大限に活用し、お子様やお孫様へ計画的に資産を移転することは、多くの家庭で実践されています。この方法により、相続財産の総額を減らし、将来的に発生する相続税の負担を軽減することが可能になります。
しかし、この「生前贈与のやり方」が不適切な場合、相続税申告後に税務調査で問題が発生するリスクが伴います。不適切な手法により名義預金と判定される事例があり、その場合、生前贈与が相続税対策として全く意味をなさなくなることがあります。
そうならないためにも、よく指摘される「名義預金と贈与」について、お話したいと思います。
■名義預金とは?問題点とその回避策
名義預金とは、名義上は他の親族のものになっているものの、実質的には贈与した人(被相続人)が管理している預金の事を言います。
つまり表面上は他人名義に見えても、実質的には贈与者が管理している資金ということです。
生前贈与を用いて親族に財産を移転しても、その資金の存在を受贈者が認知していなかったり、自由に使えなかったりする場合、これを名義預金と見なします。税務調査でこのように判断されると、本来減らすことを目的とした相続財産が逆効果となり、結果的に相続税の負担が増大する可能性があります。
■名義預金を避けるための「正しい生前贈与のやり方」
名義預金と判断されないためには、いくつか対策を講じておく必要があります。その対策の主だったものを紹介します。
・贈与契約書の準備
贈与は法律上、「あげます・もらいます」の意思表示の合致(契約)により成立します。
親から「あげます」の意思表示はあっても、子供から「もらいます」の意思表示が無ければ贈与契約は成立しません。そのため生前贈与を行う際は、双方の意思が一致していることを示す贈与契約書を作成し、保管しておくことが重要です。これにより、贈与の意志が明確になり、後々のトラブルを避けることができます。
・贈与税の申告を確実に行う
年間110万円を超える贈与を受けた場合、贈与を受けた方つまり受贈者は贈与税を申告する必要があります。この申告を怠ると、税務署に名義預金と見なされるリスクが高まります。非課税にするために年間110万円の贈与を行った場合、贈与を受けた人が贈与税の申告を行うことが、税務署へ対抗できる要件にもなりますので、贈与税の申告をするようにしましょう
・通帳の管理を受贈者に委ねる
贈与税の申告があっても、贈与者が通帳を管理している場合、贈与が実質的に行われていない(つまり自由に使える状態ではないため)と判断され名義預金の扱いとなる恐れがあります。そのため、通帳の管理は贈与を受ける方である受贈者に任せ、贈与が実際に行われたことを証明できるようにすることが大切です。
ちなみに受贈者が未成年の場合、親が法定代理人として管理します。
■賢い生前贈与で相続対策を最大化
生前贈与は、節税対策や財産分割、納税対策の各側面で効果を発揮する重要な手段です。適切な生前贈与のやり方を理解し、実行することで、財産を次世代に円滑に引き継ぐことができます。
しかし、生前贈与には適正な手続きが必須であることを忘れてはなりません。名義預金の問題を避け、贈与契約書の作成、贈与税の申告、通帳の適切な管理といった基本的なステップを踏むことが、成功へのカギとなります。
■「生前贈与 やり方」で節税効果を最大化
生前贈与を最大限に活用するためには、以下のポイントも考慮する必要があります。
・計画性を持って贈与する
非課税枠を活用しながら、複数年にわたって分割して贈与することで、節税効果を高めることができます。
計画的に生前贈与を行い、相続時の負担を最小限に抑えましょう。
・具体的な贈与の目的を持つ
生前贈与を行う際には、単に節税を目的とするだけでなく、受贈者のニーズに合わせた贈与を心がけることが大切です。
教育資金や住宅購入の支援など、具体的な目的に基づいた贈与を行うことで、より意義深い贈与となります。
・相続計画との整合性を考える
生前贈与は、相続計画の一部として考える必要があります。
相続が発生した際に家族間で紛争が起きないよう、事前に相続計画を立て、全体のバランスを考えた生前贈与を行うことが重要です。
■まとめ
正しい「生前贈与 やり方」を理解し、実践することは、相続税対策として非常に有効です。
しかし、名義預金とみなされないよう、適切な手続きを踏むことが必須であることを忘れずに。生前贈与は計画的に、かつ受贈者の将来を見据えた形で行うことで、その真価を発揮します。相続における賢い節税対策として、生前贈与の適切なやり方を今一度見直し、有効に活用しましょう。
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