賃貸経営をしていると、入居トラブルや入居者からのお困りごとに対応しなければいけないことがあります。
設備の不具合であれば修理や交換で済みますが、家賃滞納や騒音、異臭トラブル、契約違反などは長期化することも多く、一筋縄ではいかない案件もあるのではないでしょうか?
当社でも様々なケースを対応をしておりますが、その中でも最近は騒音問題が増えてきたように感じます。2020年からのコロナ禍で在宅ワークをされる方が増え、全体的に自宅で過ごす時間が増えたことが一つの要因として考えられます。騒音の原因としてはいくつかありますが、大声での話し声、大音量の音楽、ペットの鳴き声、足音などが挙げられます。
苦情があるにもかかわらずトラブル対応を怠ると、被害者がそれらを理由に損害賠償を請求してきたり、退去となって退去費用を請求されたりするケースもありますので、苦情を受けたら即座に適切な対応をすることを心がけましょう。
賃貸住宅の騒音で苦情が来る原因とは
賃貸住宅で騒音トラブルで苦情が来る原因を紹介します。騒音元の入居者が全て悪いわけではないため、参考にしてください。
- 賃貸住宅の騒音は建物の構造上の問題
- 隣人との生活習慣の違い
- 家族構成の違い
賃貸住宅の騒音は建物の構造上の問題
賃貸住宅の騒音トラブルの原因として、建物の構造上の問題が挙げられます。
鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造の賃貸住宅であれば防音性は高いですが、木造や鉄骨造の賃貸住宅は防音性は低いです。
壁を分厚くすることで対策はできるものの、一般的な木造・鉄骨造の建物は、生活音や話し声が聞こえやすいため、騒音トラブルが起きやすいです。
隣人との生活習慣の違い
入居者間での生活リズムの違いも、騒音トラブルが起きる原因とされています。
不動産オーナーとしては、入居者がいつ活動しているか把握するのは難しいですが、大まかな情報だけでも把握することが出来れば、トラブルを回避することに繋がります。
最近ではコロナウイルスの関係で、テレワークを実施している企業もありますので、入居者同士の職業を少しだけでも把握することがトラブルを引き起こさないうえで重要といえるでしょう。
家族構成の違い
入居者同士の家族構成の違いによって苦情が来ることもあります。
特に子どもがいる家庭は苦情の対象になることが多く、子どもの走る音や夜泣きといった大きな声に耐えられない人がいるようです。
同じように子どもを育てていれば、理解してくれることが多いため、家庭を持っている入居者同士を隣、または上下の部屋などにすると苦情は少なくなるといえます。
賃貸住宅の騒音トラブルの対処方法
自分が所有している賃貸住宅で騒音トラブルが起きた時の対処方法を紹介します。
流れとしては下記のような形です。
- ①近隣住民からヒアリングし状況把握と情報収集を行う
- ②騒音トラブルを入居者へ周知する
- ③騒音元の入居者へ改善依頼を出す
- ④苦情元の入居者へ報告をする
①近隣住民からヒアリングし状況把握と情報収集を行う
まずは掲示板など入居者が普段良く見るような場所に案内文を出すのが良いですが、これだけでトラブルが解決するケースは少ないでしょう。
そのため、苦情元の入居者から詳細な状況(頻度、時間帯、音の内容、場所など)を確認する必要があります。場合によっては近隣の方からもヒアリングが必要です。
②騒音トラブルを入居者へ周知する
次に騒音元を特定した場合や迷惑となるような騒音を確認できたら、掲示板やポストを利用して全入居者に伝えましょう。
不満を抱えていた入居者の苦情を拾うことができるとともに、騒音元への注意喚起にも繋がります。
③騒音元の入居者へ改善依頼を出す
上記の注意喚起でも騒音が収まらない場合は、騒音元へ書面や口頭で直接注意勧告をしましょう。
掲示板に書かれているのが自分だと理解していない場合や、わかっていてなおやる人も中にはいますので、直接言って危機感を与えるのも不動産オーナーの役割といえます。
④苦情元の入居者へ報告をする
最後に、騒音が改善されたら、苦情元の入居者に報告しましょう。
どのような対応をとったのかを報告し、同じようなことが起きた場合の対応も伝えてあげると、苦情元へのフォローができるでしょう。
騒音トラブルを対処する時の注意点
賃貸住宅のオーナーが、騒音トラブルを対処するうえでの注意点を紹介します。注意点は以下のような3つが挙げられます。
- 騒音元を決めつけない
- 平等な目線で判断する
- 苦情を出した入居者をフォローする
騒音元を決めつけない
騒音トラブルを対処する時は、騒音元を決めつけないように注意しましょう。
騒音元の誤解は、事態を深刻化させてしまう可能性があるため、「入居者全員に確認している」という旨を伝えながら対応するのが望ましいです。
平等な目線で判断する
平等な目線で判断することも、騒音トラブルに対応するうえで重要です。
苦情内容が細かすぎたり、理不尽すぎたりすることもあるため、苦情元を「善」とするのではなく、状況を正しく判断することも不動産オーナーとして重要です。
苦情を出した入居者をフォローする
騒音トラブルに対処する時は、苦情元のフォローも忘れないようにしましょう。
騒音元に対してのフォローを怠ると、最悪の場合入居者が退去してしまい、ネット上で良くない口コミを書かれる原因となってしまうため注意が必要です。
賃貸住宅の具体的な騒音値(デシベル)とは
人によって音の感じ方も違うので、状況によっては騒音計を利用するのも一つです。
騒音計は役所によっては無料で借りられるところもありますので、お住まいの役所に確認してみるのも良いかと思います。
また、騒音計での数値をもとに第三者的な視点で話を聞くことも大切です。騒音値については下記表をご確認ください。
賃貸住宅で騒音トラブルを引き起こす入居者の強制退去の流れ
ここまで、騒音トラブルが起きた時の対処方法や注意点を紹介しましたが、騒音元との話し合いでトラブルが解決しない場合もあります。
その場合は退去要求(強制退去)の措置をすることも出てくるかと思いますが、騒音レベルが環境基準(40〜60db)を超えない場合は退去の要求が難しい場合もあるのでご注意ください。
さて、強制退去と書かせていただきましたが、もし実際にそういった状況になった場合の流れを紹介します。
強制退去は以下の流れで行います。
- ①注意及び勧告
- ②内容証明郵便による勧告
- ③契約解除
- ④明渡請求訴訟
①注意及び勧告
上記トラブル対応にも記載させていただいている、入居者全体への周知、掲示板などへの案内文などを行い、該当者には書面だけでなく口頭での注意も複数回行います。
②内容証明郵便による勧告
注意及び勧告を何度か行ってもトラブルが解消しない場合は内容証明郵便による勧告を行います。
その場合、「●●までにトラブル解消にご協力いただけない場合は、賃貸借契約の解除を行う」といったような内容を記載して書面を送付します。
③契約解除
内容証明郵便を送付し勧告をしたにも関わらずトラブル解消に至らない場合、賃貸借契約解除の法的効果が生じます。
④明渡請求訴訟
賃貸借契約の解除後、明け渡し請求の訴訟提起を行います。裁判が始まる前に和解調停を行う機会があり、そこで和解が成立しない場合には裁判による判決が下されます。
明け渡し訴訟で強制退去が認められた場合、裁判所の執行官によりトラブル元の入居者を強制的に退去させます。
まとめ
ここまでトラブル発生から強制退去までの流れをお話しさせていただきましたが、トラブルを防止するためには、禁止事項などをルールとして賃貸借契約書へ記載しておくことも大切です。
そのルールを破った入居者がいた場合にどのような対処を行うかを明記し、契約時に説明しておくことで抑止にも繋がり、トラブル発生した場合にも多少なりともスムーズな対策が取れるかと思います。
また、入居時の審査を厳しくすることも防止対策の一つかと思います。
審査を厳しくすることで、場合によっては空室が埋まりづらくなることも考えられますが、無理に入居させた人がトラブル発生元になってしまった場合、周囲の入居者の退去に繋がったり、長期に渡って対応に悩まされたりすることも考えられます。
実際にどこまで厳しく審査するのか管理会社と一度相談してみるのも良いでしょう。
当社では今まで多くの入居トラブル対応をはじめ、入居審査を行ってきました。その経験を元に、入居者への良好な住宅環境を維持し、安定した賃貸経営を行うためのご提案・サポートをさせていただいています。入居者対応にお困りの方は、ぜひ一度ご相談ください。
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