■日本エイジェント「スキルアップセミナー」
弊社では「スキルアップセミナー」という社内勉強会を行なっております。これは、全店舗のリーシング(賃貸仲介)スタッフを集めて、不動産知識をはじめ、接客時のトークの幅を広げたり、各物件の情報共有など、接客技術の向上を図るものです。日々、オーナー様の物件をどうやってご紹介していくかを研究しています。今ではzoomという便利なWEB会議システムを使い、オンライン上で全員が気軽に集まることができるようになりました。
このスキルアップセミナーで、久しぶりに私が話をする機会があり、90分ほど登壇しました。私自身、前職からずっと営業畑で、上司、先輩、時にはお客様から叱られて育てていただきました。そういった営業マン時代にぶつかった壁、経験をもとに、より現場に即した形で話をしました。
■お客様が「本当に求めているもの」を理解する
今回は、新人スタッフが多かったため、接客技術の基礎編、応用編、ツールの作り方までより具体的に話をしましたが、一番伝えたかったのは「思考(考え方)」です。テクニックは明日からでも応用できますが、考え方は明日から急に変わることができません。少しずつ時間と経験を重ねて醸成されていくものです。
私の好きな例え話で、接客の本質を捉えた象徴的な話があります。
あるホームセンターで、一人のお客様がキョロキョロしながらスタッフを見つけてこう言いました。
「あのー、ドリルを探しているんですけど、どこにありますか?」
新人スタッフのAさんは、ここぞとばかりに、
「ドリルですね!ご案内します!」「ちなみにドリルの針の素材や形状、大きさなど教えてください!」
お客様の要望に応えようと、お客様のために一生懸命聞いています。
そこへ、店長のBさんがやってきました。
「お客様、どのような穴をどこに空けたいのでしょうか?」
はい、そうなんです。お客様は「ドリル」が欲しいのではなく「穴」が欲しいんですね。
お客様の本当に欲しいものの本質がわかっていると「質問」が変わってきます。
新人Aさんはお客様のためを思って一生懸命なのですが、本質を捉えていないとその一生懸命が空回りしてしまうケースがあります。かくある私も新人時代はそうでした。
店長Bさんの質問は、どこにどんな穴をあけたいのか?こういう質問をすると、もしかするとこのお客様が買うべきものはドリルではないかもしれません。例えば、「自分が住んでいる賃貸物件に絵を飾りたいから壁にドリルで穴をあけたい。」と答えたら全力で止めますよね(笑)。
つまり、お客様の発言をそのまま要望として鵜呑みにするのではなく、そこに「想像力」を働かせることが大切です。そして、それこそが私たち「不動産仲介スタッフの存在価値」なのです。
■お部屋探しのお客様が「求めているもの」の本質
そこで、私たちのお部屋探し業務に置き換えてスタッフに質問しました。
【初級編】「オートロックが絶対条件の一人暮らしの女性が本当に欲しいものは?」
これは簡単ですね。お客様が本当に求めているのは「オートロック(手段)」ではなく「安全、安心な暮らし(目的)」です。
それが理解できると、このお客様への提案は、オートロック設備だけではなく、モニター付きインターフォンや、人通りや街灯の多いエリアをご提案したり、弊社の強みである「レスQセンター」の24時間緊急出動サービスを紹介するとお客様の満足度は上がります。
実は意外とお客様自身が、自分の本当に求めているニーズを理解していないケースがあります。そして経験を積んで接客上級者になると、お客様にさまざまな角度から質問することで、ご本人に「本当のニーズ」を気づかせるということもできるようになります。
■まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は「スキルアップセミナー」という社内の取り組みからオーナー様の物件をどのように決めていくか、リーシングの接客における考え方をお話ししました。
ただ残念なことに、私自身が「妻の求めるものの本質」を理解しておらず、いつも妻に怒られていることは内緒です(笑)。家庭においても、この「想像力を鍛える」ことは大切ですね。夫婦円満の秘訣。理想の父親像を目指して頑張ります!
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