不動産投資の収入で現役を早期リタイヤしたいという想いは、多くの不動産投資家が一度は考える夢です。
しかしながら現実はどうでしょうか?弊社では数多くの不動産オーナー様とお付き合いがありますが、その中でも「専業大家」として不動産収入だけで生計を立てているオーナー様は思ったより多くはありません。何かしら本業があったり、他の事業と兼業されているオーナー様がほとんどです。
■「月間収入100万円」の収支構造
そこで、多くの不動産投資家が目標としている「月間収入100万円(税引き前)」を実現するには、どのような収支構造で成立するのかを検証してみます。ここで「税引き前収入」で検証したのは、
①個人所有の場合の所得税の税率、法人所有の場合の法人税の税率が変わること。
②仮に所得税の税率が30%とした場合、手取り額でざっくり月額70万円残ることになり、一般的な家庭であれば十分に生活できる金額であること。
上記二点から見て、税引き前月間収入100万円と想定しています。検証する前に、家賃で「税引き前月間収入100万円」を達成するには、どのような収支構造になるのかを見ておきたいと思います。
例1)家賃収入月間100万円の収支構造
・家賃収入:100万円 /月
・運営経費:20万円 /月(収入の20%と想定)
・融資返済額:50万円/月(返済比率50%と想定)
運営経費には、管理費・修繕費・各メンテナンス経費を計上し、月収入の20%程度必要になります。融資返済額については、借入時の自己資金割合などで変わってきますが、ここでは50%と計算しています。この場合の税引き前の月間収入は、100万円-(20万円+50万円)=30万円となります。この収支構造で「税引き前月間収入100万円」を達成する為には、投資規模を3.3倍にしなければなりません。
例2)税引き前月間収入100万円の収支構造
例1)の投資規模を3.3倍にすると、
・家賃収入:330万円 /月
・運営経費:66万円 /月(収入の20%と想定)
・融資返済額:165万円/月(返済比率50%と想定)
つまり、月間で330万円の家賃収入を得る必要があります。
■「月間家賃収入330万円」の投資規模
それでは月間家賃収入330万円(税引き前)を達成するためには、どれくらいの規模の不動産投資が必要になるでしょうか。投資不動産の表面利回りを10%と想定するとその投資規模は、
「投資不動産の価格=年間収入(330万円×12ヶ月)÷利回り10%=3億9,600万円」≒ 4億円となります。
収益不動産を複数所有するかどうかはともかく、合計で4億円規模の収益不動産で、且つ表面利回りが10%以上の収益不動産ということになります。この投資規模を短期間で達成するのはかなり厳しいと言わざるを得ません。
■融資事情からみた「月間家賃収入330万円」の実現
4億円の収益不動産の投資規模を実現する為には、金融機関からの融資が不可欠です。以前であれば、購入不動産の全額融資(フルローン)やリフォーム費用も合わせての融資(オーバーローン)などの融資条件もありました。しかし昨今の状況は全額融資(フルローン)でさえ難しく、購入価格の1割から3割程度の自己資金が必要となります(もちろんフルローンのケースが無い訳ではありませんが)。
仮に物件価格全額を借りることができたとしても、不動産の購入に際しては、売買仲介手数料・登録免許税・不動産取得税・所有権移転登記などの諸経費がかかります。諸経費の金額は、おおよそ物件価格の7%程度は必要と言われていますので、物件価格2億円とすると1,400万円の現金が必要になります。全額融資を受ける場合でも、ある程度まとまった自己資金を用意することが不可欠です。
■「月間家賃収入330万円」への道のり
このように考えていくと、月間収入100万円(税引き前)を達成することの難しさは、ご理解頂けたかと思います。しかしながら、到底達成できない目標かというとそうでもありません。短期間での達成は難しいかもしれませんが、計画的に時間をかけて実行していくことで、目標の達成が可能となります。
まずは、スタートの一棟目の購入が重要になります。上限額一杯の融資借入をするような無理をせず、少し余裕を持ってスタートします。一棟目で不動産投資の難しさや他の金融商品とは異なる投資効率の良さを経験し、その収益から上がるキャッシュフローを二棟目購入の自己資金に充当します。この投資を繰り返すとともに、所有物件の入替を行います。その際物件によっては、売却益を出すこともできます。時間をかけての再投資が、目標達成への道のりになります。皆さんも「時間を味方に付けた資産形成」を始めてみませんか。
■「月間収入100万円」達成後のリタイアを考える
将来、月間収入100万円(税引き前)を達成したとして、皆さんは現役をリタイアされるでしょうか?もちろん仕事とは違う生きがいを見つけて、不動産投資で得た収入で新しい生活をスタートさせるのもいいですし、仕事をそのまま続けるという選択肢もあるでしょう。安定した収入があれば、仕事の選択肢も広がるので、仕事について考えるいい機会になるかもしれませんね。
私の場合、仕事に関する考え方には当社の企業方針【遊働一致】が大きく影響しています。【遊働一致】の言葉に込められた意味は、「自分の仕事を義務と考え、ただ頑張るだけの人は幸せではない。また、仕事以外に楽しみを見出し趣味に高じる人も、幸せとは言い得ない。自分の仕事の中に楽しみを見出し、仕事を遊びにまで高める人こそ、真に幸せである。」
人生の大部分を占める仕事の時間、自分の中に芯を持って楽しみながら取り組んでいきたいものですね。
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