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余ったお金

会長のたわごと

 

私が新入社員として大阪で会社勤めをしていた頃、個人売上と自部署、そして自支店の売上は気になりましたが、全社的な数字には余り関心がありませんでした。

ただ、「総売上」から「総経費」を引いた余りが「利益」なら、「余りの利益をもっと社員に還元してくれたらいいのに?」「余ったお金は株主に配当したり、社長や役員が分配するのかな?」・・・ぐらいに思っていました。

 

2019年からの世界的パンデミック「新型コロナウイルス」の猛威は、医療危機だけでなく世界経済にも歴史的な打撃を与えました。日本国内でも、不況による倒産やリストラ旋風が起こりました。

そんな状況下で、弊社だけが無傷でいられる訳がありません。

しかし、私は全社員に対して「このコロナ禍で弊社社員の誰一人としてリストラすることはありません。全社員の雇用は必ず守ります!」と宣言しました。

正直に云ってその時の心境は、「コロナショックはいつまで続くのか?」。私自身も不安でたまりませんでした。

ただ、このまま売上が激減したとしても、2年やそこらは賃金を払い続けるだけの内部留保をしていたから、言えたのです。

もし、「収入と費用の差は余ったお金」という発想で、気前よく社員に分配していたら、非道なリストラか倒産を覚悟しなければならなかったでしょう。

 

ほとんどの会社には借金があり、設備投資も必要です。会社は利益を使って借入金返済や未来への投資をしなければなりません。

ここでいう「利益」とは、売上や粗利ではなく「税引後当期純利益」のことです。「経常利益」ではなく「税引後純利益」だけが自己資本比率を高める内部留保になります。

 

社員と会社を守るのは「P/L(損益計算書)」ではありません。「P/L」で当期過去最高の経常利益を出したにもかかわらず、いきなり倒産という事例は幾つもあります。

社員と会社を守るのは、実際の現預金(キャッシュ)です。

会社経営で大切なのは「財務」「販売戦略」「人づくり」の三つだと言われます。

一番大事な財務を理解していない人は、借金は売上から返済するものと勘違いします。

借入金の元金返済は、すべての経費を差し引いた後の「純利益」から返済しなければなりません。経営者は、借入金やその他の支出のために「一年間で税引後の利益がいくら必要か」(キャッシュフロー)を、常に把握しておく必要があります。

いくら「P/L」上で利益を出せていても、財務の基盤である内部留保(自己資本比率)が低いまま焦って業容の拡大をすれば、キャッシュフローが破綻し倒産してしまいます。

会社は非常時においても、社員とその家族、そしてお客様を守るために「税引後純利益」を多くして、「内部留保」をしなければならないのです。

 

「純利益」は、借入金の返済、設備投資、人件費などを捻出するために使う資金であり、会社存続ための最低限必要なお金です。決して「余ったお金」では無いのです。

 

 

 

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