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最後は直感力
ある飲み会で他社の社員から、「あの~普段、社長ってどんな仕事をしているんですかね?」と聞かれたことがありました。
逆に、「あなたには、どんな仕事をしているように見えますか?」と問い返してみました。
すると「毎日ハンコをつく以外に経理や営業の仕事するわけでもなく、重要会議に出て指示をするぐらいで、後はどんな仕事をしているのか分かりません」
「それに社外の親睦会や飲み会、ゴルフなど交際費が一番多いし・・それが仕事なんですかね~!」
と、愚痴とも本音ともいえる問いかけでした。
会社の規模や職種にもよりますが、若い社員から見て「社長はどんな仕事をしているのか分からない?」
ぐらいが、ちょうどいいと思っています。
社員の目から見て、社長自身が得意先営業で忙しくしたり、色々な金融機関に挨拶に走り回ったり、社内問題でバタバタしたり、
目先の仕事で目まぐるしく働いている時は、会社がうまく行っていない状態の時です。
ただ、「飲み会やゴルフのどこが仕事なのか?」という疑問もわかります。
すべてがそうだとは言えませんが、これには地域情報や人間関係の機微を通じて社会的バランス感を養う大事な要素を含んでいます。
このバランス感とは、ビジネス書やセミナーでは決して得られない「物差し」や「羅針盤」のことです。
社長とは「経営のかじ取り」をする人です。それには、年度初めに経営計画書を作って終わりでありません。
いくら綿密に計画を立ててもその通りいくことはなく、環境の変化など日々発生する諸問題に対する決断の連続です。
社長業にとって、決断より重要な仕事はないと言っても過言ではありません。
決断には、目先の決断から将来の決断まで様々ですが、その一つ一つが会社が進むべき重要な「方向舵」になります。
会議などでどれほ議論をつくしても100%の正解はありません。最後の最後は、社長の“直感”による決断しかないのです・・それが現実です。
ご存じのように「直感」とは、自分の経験や知識を土台にして生み出される「第六感」、
つまり視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚の五感を超えた理屈では説明しがたい物事の本質をつかむ感知能力です。
この直観を左右するのが、今まで自分の中に積み上げ磨いてきた「物差し」や「羅針盤」です。
冒頭の社員は、このような飲み会に出席させてくれる社長の度量に気づくべきだと思います。
そのような会社は、社長の能力も高く業績も良いはずです。
そんな話をした後、私から「それでは、会長はどうですか?」と聞いてみました。
すると「雲の上の人なので、よけいに分かりません」と。
良い意味でも悪い意味でも「雲の上」とはよく言ったもので、姿も行動もほとんど見えない存在のようです。
確かに中小企業の場合、もし会長が矢面に立って目立つ行動が多くなれば、さらに会社が難しい局面に陥った時です。
その意味では会長職と言えども、常に「直感力」を磨いておく姿勢が大事です。