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部屋物語を語ろう

会長のたわごと

弊社の応接室の、お客様から必ず見える位置にドーンと「半鐘」を置いています。

しかし、ただの飾りと思って何も言わないお客様がほとんどです。

時折、関心のなさそうな人に向かって次のように言ってみることがあります。

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『これは本物の半鐘ですが、当ビル屋上の“火の見櫓”に釣っているのと全く同じ物なんです。

「なぜ不動産会社に火の見やぐらか?」というと・・・

このビルは戦後約半世紀の間、地元の消防署だったんです。

長年火事やケガから人々を守ってきたことに敬意を表わし、

同時に地域の人々に役立つ事業を志す弊社の“ランドマーク”として、20年前に建立しました。

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しかも、この半鐘は約400年前から鋳物造り唯一の老舗として、

広島の平和の鐘や国連、西本願寺、比叡山の鐘など

数々の名鐘を手がけた富山県の「老子製作所」に、特別注文したものです。

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それから、半鐘に刻んでいる「遊働一致」の文字は造語ですが、

「仕事を義務なんかにしない、仕事そのものを遊びにまで高めよう!」

という弊社の基本理念なんです』・・と。

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すると、それまで半鐘に全く無反応だった人が、目を輝かせ

「へ~っ!そうなんですか!ただの飾りではないんですね、ちょっと触らせてもらっていいですか?」

と感慨深げに、席を立って手で触れてきます。

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かなり以前ですが、ある小冊子に次のようなことが載っていました。

「新潮社発刊の“白い犬とワルツ”という本が、ある一軒の本屋のPOPが発端となって

それが全国に飛び火し、それまでまったく売れていなかったこの本が、

いきなり百万部を突破する大ベストセラーになった。そのことが、朝日新聞に載った。」

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そのPOPに書かれていたのは・・・・

『妻を亡くした老人の前に現われた白い犬、この犬は老人にしか見えない。

その犬が他の人達にも見えるようになる場面は鳥肌ものです・・

何度読んでも鳥肌が立ちます。感動のプレゼントにもピッタリです!』と。

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それまでは、日本全国のどの書店でも、この本を棚に並べているだけでした。

ところが、物語の一部分だけ切り取ってメッセージした途端に多くの人が買い求めたのです。

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私達の仕事に置き換えて考えてみましょう。

お客様から希望を聞いて物件検索をするだけ、

要望に応じて部屋を案内するだけ、

質問に答えるだけ・・・これらは営業とは言わないのです。

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それでも契約できたのは「お客様が勝手に決めてくれた」だけなのです。

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大部分のお客様は、引っ越しを機会にスタートする

「新しい自分物語」を連想することが出来ていないのです!

最初の希望条件と全く異なった部屋に、決ったりするのはそのためです。

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本物の営業とは、お客様がその部屋で新しい生活を想像できる手助けをすることなのです。

これは極めて重要なことです。

なぜなら、この部屋から始まる新たな“部屋物語”の連想は、

その物件に全く関心のなかった人にまで、動機付けすることが出来るからです。

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一流の営業パーソンとは「物語のメッセンジャー」でもあるのです。

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